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ヒゲクジラ亜目ナガスクジラ科
英名:Humpback Whale
学名:Megapteera novaeangliae
体長:雄13m、雌14m
体重:30t
ザトウクジラは、北極から南極におよぶ全海域に分布している、アメリカ式捕鯨と近代捕鯨の対象種です。
19世紀後半に北大西洋における捕獲数が減少したため、漁場は北太平洋、南半球へと移り、20世紀初頭の40年間で10万頭以上が捕獲されたため、1966年に捕獲禁止となりました。
現在は、西インド諸島のセントビンセントで、原住民生存捕鯨の名で年間2頭の捕獲が続いています。
世界の海洋に広く分布していますが、南北それぞれの半球で、夏には高緯度海域で採餌を、冬から春先にかけては低緯度海域で繁殖を行います。
かつての捕鯨によって個体数が激減したため、現在の推定個体数は1万5000頭ほどと見られています。
学名のMegapteraのMegaは「大きな」、 pteraは「翼」という意味です。体長の1/4~1/3に達する胸びれの前縁には、不規則な隆起が連なっています。
ヒゲクジラ亜目ナガスクジラ科
英名:Gray Whale
学名:Eschrichtius robustus
体長:雄13m、雌14m
体重:40t
コククジラは北米大陸の太平洋岸に沿って回遊するため、古くから捕鯨の対象になってきました。
1846年に繁殖のための入り江が発見され、そこでの捕鯨が個体数を激減させてしまいました。
1946年に(一部の生存捕鯨を除き)完全に保護され、現在は推定個体数2万5000~2万6000頭にまで回復しています。
コククジラは体の表面に多くの動物を寄生させます。
体の場所によってはフジツボ(多角形の殻をもつ)と、その間でクジラジラミ(海岸で見られるトビムシなどと同じ甲殻類のなかの端脚類に属す)が皮膚を覆っています。
ヒゲクジラ亜目ナガスクジラ科
英名:Blue Whale
学名:Balaenoptera musculus
体長:雄25m、雌26m
体重:100~120t
小型の亜種ピグミーシロナガスクジラ Pygmy Blue Whale(B. m. brevicauda)が北部インド洋と南半球に分布します。
1946年、資源管理のため国際捕鯨条約が締結されたときにはすでに個体数が激減してしまったため、1966年捕獲が禁止となりました。
現在の推定個体数は1万2000頭です(ピグミーシロナガスクジラを含む)。
同じナガスクジラ科のナガスクジラやニタリクジラの上顎が、吻端の尖ったV字型に見えるのに対して、シロナガスクジラの上顎はたっぷりと幅のあるU字型です。
体長に対する胴の幅も、同じ科の仲間に比べて大きいのが特徴です。
ヒゲクジラ類(亜目)の噴気孔は、陸上哺乳類と同様左右に2つ並んでいます(イルカを含むハクジラ類では1つ)。長い背中の後方に位置する背びれはきわめて小さく、背には青灰色の濃淡による斑模様があり、1頭1頭その様子が異なるために、自然標識として写真撮影をされ、個体識別に役立てられています。
すべての個体で確認されたわけではありませんが、深く潜る前に海面から尾びれを持ち上げることが多くあります。
尾びれの後縁は、(ザトウではぎざぎざであるのに対して)本種では直線的で、そこから流れ落ちる海水は切れ目の無いカーテンをつくりあげます。
ヒゲクジラ亜目セミクジラ科
英名:Northern Right Whale
学名:Eubalaena Glacialis
体長:17m
体重:50~60t
北半球に生息するセミクジラを、北大西洋産のNorth Atlantic Right Whale(E.glacialis)と、北太平洋産のNorth Pacific Right Whale(E.japonica)との2種類に分類する学者もいます。
泳ぎが遅く、皮下脂肪が厚く死んでも沈まないために、初期の捕鯨から捕獲の対象になってきました。英名のRight Whaleは「まさに捕るべきクジラ」という意味をもちます。
セミクジラは頻繁にブリーチを見せてくれます。ブリーチのあとには体表の古い皮膚や寄生虫がはがれ落ちて、それを求めてカモメの群れも集まってきます。
上顎を左右からはさみこむように、大きく湾曲した下顎が特徴的です。
ミナミセミクジラは海面で逆立ちし、尾びれを空中に突き出す姿勢をとりつづけるので、まさに風をとらえる意味でセーリングと呼ばれます。
セミクジラの頭部や上下の顎には、ケロシティと呼ばれる大小の淡色のこぶ状の隆起が散在しています。ケロシティの分布のさまざまがそれぞれの個体によって異なるため、頭部を写真に記録することで個体識別が可能となります。
バルデス半島周辺や南オーストラリアなど、ミナミセミクジラの繁殖海域で全身が白い子クジラが観察されることがあります。アルビノも観察されていますが、写真はただ白い部分が極端に多い個体と見られます。
背びれをもたないために、日本では古来「背美鯨」と呼ばれていました。
ハクジラ亜目マッコウクジラ科
英名:Sperm Whale
学名:Physeter macrocephalus
体長:雄18m、雌11m
体重:雄45t、雌15t
世界の海洋に分布していますが、雌の群れは比較的低緯度の海域にとどまり、雄は成長すると単独で極海まで回遊を行うようになります。
水深1000mを超える海域で多く発見され、採餌のための潜水は、1回で40分~1時間にもおよびます。
現在の推定個体数は200万頭ほど。
体の1/4ないし1/3を占める頭部には、巨大な脳油器官が収められています。
クジラは冷たい海水と温かい血液とをうまく使いながら脳油の比重を変えることで、大深度の潜水と浮上を効率よく行うと考えられています。
巨大な頭部とは対照的に、下顎は1本の丸太を思わせる形状です。上顎の歯は痕跡的で、下顎にのみ左右それぞれ20~26本の円錐形の歯が並んでいます。
ハクジラ類に共通したひとつの噴気孔は、頭部の先端近くで大きく左側に偏っている。そこからの噴気は、斜め前方(ほぼ45度)に傾いて噴き上げられるため、遠方からでも種を見分けることは簡単です。
雌は近縁の雌たちといっしょに、家族ユニットと呼ばれる緊密な結びつきの群れで一生を過ごします。
子クジラの雌は母親のユニットにとどまり、子クジラの雄は成長とともにユニットを離れてより高緯度の海域への回遊を開始します。
背びれは低い盛り上がりにすぎません。浮上しているときは、頭部の先端から背びれまでを海面に見せ、それより後方は海中にあることが多くあります。
また体の後半部では、皮膚の表面はしわで波打っています。
海面に長くとどまって呼吸を繰り返したあと、最後に尾びれを海面に上げて一気に1000mを超える深海までイカを求めて潜ります。このときに撮影できる尾びれの形や傷は、個体識別のための自然標識となります。
ハクジラ亜目ゴンドウクジラ科
英名:Orca, Killer Whale
学名:Orcinus orca
体長:雄9m、雌7m
体重:雄7t、雌4t
海の殺し屋とよばれるシャチは魚はもちろん、ペンギンやオタリア、クジラさえ食べます。
私が最も印象に残っているのは、コククジラの赤ちゃんをシャチ5頭位で襲っていた所です。3~4時間ほどかけて追いかけ、赤ちゃんクジラが疲れてきた頃に上から乗っかり、溺れさせていました。母クジラの尾びれで叩かれないよう、時間をかけてじわじわと詰め寄っていく姿が、印象的でした。
シャチは時速56kmのスピードを出すことが出来ます。最大のシロナガスクジラでも、シャチの群れに襲われたら、攻撃を逃れられません。
さらに、シャチは捕らえた獲物で遊びもします。尾びれで跳ね上げたり、くわえて投げたりと。シャチに天敵はいません。まさしくギャングですね。
白黒はっきり分かれた体や、まっすぐに伸びた背びれ(特に雄は)、大きな体でもジャンプ力抜群なところなど、とてもカッコイイです。
シャチの両目の上方にある白い模様はアイパッチと呼ばれています。背びれの根元には灰色の模様があり、水中ではカムフラージュ効果があると同時に、個々の模様は一頭一頭異なるため、背びれの形状とともに個体識別にも役立ちます。頭は円錐形で、特にオスの背びれは大きく、2m近くにもなります。
シャチは肉食動物なので歯は鋭く、獲物を口の中で噛むためと言うより、むしろ飲み込みやすい大きさに引き裂くために使われます。
イルカ、つまりはハクジラの一種であり、発生音を使い分け、仲間とコミュニケーションをとることもでき、他のイルカの発声音を察知して、いる場所を突き止め、狩りに役立てています。
極海から暖海まで全世界の海洋に分布カナダからアメリカ、ワシントン州の太平洋岸に定住する個体群は1970年代から1頭1頭が個体識別され、その生態や社会について詳しく調べられてきました。