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くじらに会おう.jpトップ > 沖縄のザトウクジラ
慶良間諸島は那覇の南西40kmに位置する大小20の島々からなる亜熱帯の島です。
慶良間諸島周辺はかつて捕鯨が行われ、1950年代にはクジラの姿が見えなくなっていましたが、1986年に島民が目撃、以来WWFJ(日本野生生物保護基金)やカナダのクジラ類学者ジム・ダーリング博士らの指導の下、尾びれによる固体識別を中心に個体数の推定の調査を続けてきた。こうしてより多くのクジラの数が観察できるようになった1990年、座間味島でホエールウォッチングがスタートしました。
1991年には座間味ホエールウォッチング協会が設立され、ウォッチング船のクジラへの接近・観察方法等について自主ルールが作成され、クジラの生態調査と保護に力が注がれてきた。
座間味島を含む慶良間諸島では、これまでに260頭が識別され、1シーズンに約200頭のザトウクジラが出産や子育てに訪れることが知られています。
クジラがよく観察できるのは座間味島の北側、周りの水深が深いなかで、約50m程の浅くなった海域です。
1月20日~3月20日のウォッチング最盛期には、遭遇率95%となりますが、ただし、波の影響によってはウォッチングが中止になる日もあるので要確認が必要です。
ザトウクジラは、冬から春にかけて熱帯・亜熱帯の島や大陸の沿岸で出産、子育て、交尾といった繁殖行動に専念し、この期間は原則として餌を食べない。一方、夏から秋にかけては亜寒帯・寒帯の海域でオキアミ類やニシンなど群集性の魚をたっぷりと食べ、冬場の絶食に備える。
こうして低緯度の繁殖場と高緯度の餌場の間を1年周期で回遊し、その距離は最長で片道9000km以上にもなる。ただし例外もあり、アラビア海にいるグループは回遊をしないし、冬になっても高緯度海域に残るクジラが少数ながらいることが知られている。
日本近海では、ザトウクジラは毎年12月~5月上旬にかけて小笠原海域と沖縄海域の、主に150m~200m以浅の海域に出現する。3月頃からは、その年生まれの子クジラを連れた群れが見られる。生まれて間もないと思われる子クジラが見られる事から、これらの海域が繁殖場である事を示している。母子連れには、次の交尾の機会をうかがっているとされる「エスコート」と呼ばれる雄クジラが同伴する事もある。4月にはいると、ザトウクジラたちは次々と北方の餌場へと移動をはじめ5月中旬には姿を消す。
北太平洋全体に目を向けると、ザトウクジラは冬から春にかけての繁殖期には、小笠原や沖縄だけでなく、ハワイ諸島、メキシコ沖合いのレビヤヒヘド諸島、メキシコやコスタリカの沿岸部にも現れる。最近では台湾やフィリピン北部からも目撃情報が寄せられるようになってきた。
夏から秋にかけては千島、アリューシャン列島付近、ベーリング海、アラスカ湾、カナダ、カリフォルニア沿岸で餌を食べる。このうち、ハワイを繁殖海域とするザトウクジラはアラスカ沿岸を、メキシコを繁殖場とするザトウクジラは、カリフォルニア沿岸を中心に北米大陸西沿岸各地を餌場とすることが知られている。
ザトウクジラは、尾びれ腹面の白黒模様や、尾びれ後縁のギザギザの形などが1頭1頭異なる。これらの特徴を写真に白くして個体を識別し、各個体の観察歴から移動や成長、生活史を明らかにしようとする自然標識法(写真識別法、フォトIDとも呼ばれる)による調査が、世界各地で行われている。
小笠原や沖縄でも、自然標識法を利用した調査が1980年代末から行われ、多くのことがわかってきた。その一つは、個々のザトウクジラはそれぞれの海域内で同一シーズン中複数回確認され、小笠原や沖縄が単なる通過地点で無いという事である。
また、毎年のようにそれぞれの海域に現れるクジラもいる。一方ある年に小笠原で見られたクジラが、違う年には沖縄で見られる例が多数確認され、同じ年のなかで両海域間を移動した例もある。こうした交流の多さから、小笠原と沖縄に回遊してくるザトウクジラは同一の繁殖集団と考えられている。小笠原とハワイの間でも、同一個体の移動が確認されているが、その頻度はきわめて低く、小笠原や沖縄に回遊するグループとは交流あり得るものの、別の繁殖集団と考えられている。